死にかけのきみへ

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   汚くて、醜くて、狡くて、  どうしようもない寂しがり屋で  なにが悪いのかな。  わたしは誰かが思うよりもずっと  もっと汚くて、もっと醜くて、  もっと狡くて、寂しがり屋で。  でもみんな、生きてていいと  言ってくれる。  生まれてきて良かったと笑ってくれる  不思議だね。  わたしはよくこう自分を喩えるね  わたしは世界でいちばん汚くて  醜い狡いいきものだと。  けれど、あなたはそれを否定して  くれるのでしょう?  優しいと言ってくれるでしょう?  あなたもわたしにとってはそうなんだよ  あったかい指も身体も笑った顔も  ぜんぶ綺麗で、美しいんだよ。  血の通う心臓が優しいんだよ。  心が、泣きたくなるほど  優しくてやさしくて優しいんだよ。  泣かないでとは言わないよ。  笑ってほしいとも言わない。  ありのままのあなたを愛しているよ  でもね、一つだけ言わせてね  泣かなくても、いいんだよ  みんな、あなたのそばにいる  あなた中心に世界は回らないけれど、  あなたと常に繋がることは出来ないけれど、  あなたはわたしの一部だよ  大丈夫。大丈夫。  寂しくなったら、呼んでよ  哀しくなったら、呼んでよ  何度だって言うよ  あなたは此処にいるし、消えない  あなたは笑っていいんだよ。  
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