偽造した心霊写真

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高一の夏休み中の話だ。 その頃の俺は、部活動や文化祭の準備の合間を縫ってはマスターと心霊スポット巡りをしていた。 そしてその日は恐らく日本中のどこにでも掃いて捨てるほどある【幽霊が出るトンネル】へと向かっていた。 幽霊がそこに集いやすいのか、人がそこを怖がっているのか。トンネルというのは何故だか心霊スポットになりがちだ。 と言っても、心霊スポット巡りの一環としてトンネルに向かっているのは意外にも今回でまだ2度目だった。 この日の俺は事故で耳に怪我をしたばかりで、ガーゼを当てた左耳を無意識に触りながら、助手席の車窓から覗く夜の山道を眺めていた。 車を運転しているのは、Tシャツと短パンの上から季節外れの薄いコートを羽織った、いつも通りファッションセンスが終わってるマスターだ。
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