37143人が本棚に入れています
本棚に追加
/2686ページ
「マスターが選ぶ心霊スポットにしては有名なトンネルですね、入口付近の公衆電話に出るところでしょう?ネタ切れですか?」
「んふふ、楽しみね」
質問がテキトーに流される。
何かあるな。
こういう時は大変な目に合うと既に学んでいたが、自分が好奇心という魔物に勝てない馬鹿だとも知っていた。
どのみち引き返せはしない。
黒い木の輪郭だけの殺風景な車窓から目を離し、単語帳をめくって時間を潰す。
程なくして車が急停止した。
相変わらずの荒い運転で、シートベルトに締め付けられてから辺りを見渡す。
周囲は木だらけ、目の前には暗い穴、傍らに公衆電話。
天候は生憎……いや、都合よく曇り空。
最初のコメントを投稿しよう!