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長髪で色白なせいか、どことなく女っぽくてひ弱そうだ。
薄幸の佳人という言葉があるが、彼には薄幸の美少年という言葉が似合う。
初対面で、そんな失礼な感想を抱きつつ、俺は口を開いた。
「ここの患者さんですか?」
「うん、見ての通りだよ」
「貴方にもあれが見えるんですか?」
指差した先にいるそいつは、未だに俺にご執心の様子で立ち去ろうとしない。
「追われている人は初めて見たけどね、でも凄いや、君の右手はおばけを近づけさせない力があるの?」
「まさか、手の届く範囲に来たらぶん殴るって念じてただけですよ、本当はもっと物騒な事を考えてましたけど喋ると放送コードに引っ掛かるので控えておきますね」
「あはは、なにそれ、そんなんで近付いて来なくなるんだ」
「ああいう連中も元は人間なら、暴力は怖いはずですから」
「あはははは、そうなんだ」
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