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小型エイリアンを見つめながら、男は心底愉快そうに声をあげて笑う。
どことなく親しみやすい印象の人だ。
「入院して長いんですか?」
「あ……ちょっと厄介な持病を持っててね、安心して、移らないからさ」
「じゃああいつを見るのは一度や二度じゃない?」
「毎日とは言わないけれど、一週間に一度は見るかな?」
喋りながら男は、木の影になったベンチに腰掛ける。
中央に座ったのは隣に座れという意味か。
帰って休み開けにあるテストに向けて勉強しなければいけないんだけど……まあいいか。
悪い人じゃなさそうだから、退屈な入院生活の暇潰しに協力してあげよう。
木洩れ日の下に腰かけると、目の前にある病院の入口から恨めしそうにそいつが覗いているのがよく見えた。
「あいつは何者なんですか?」
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