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「顔に痛々しい包帯を巻いた男の人の背中にしがみついて、自動ドアを通り抜けようとしたみたいだけど……振り落とされてた、結界でもあるのかな?」
彼は頬を掻きながら照れ臭そうに笑う。
妄想じみた推理を話すのが恥ずかしいのか。
よく考えると、こういう話を真面目に聞いてくれる変わり者は俺くらいなものだ。
昔は俺も幽霊だとか話すのは恥ずかしかった。
周りに生粋のオカルティストばかりいるので、最近は忘れていた感覚だ。
「地縛霊って言葉がありますよね? ある特定の場所に縛られた幽霊ってのは多いです、また人間を媒体にして移動するのも珍しくない、貴方の考えは当たってるんじゃないでしょうか」
幽霊が人に憑りつこうとするのは、悪意を持っているものも多いだろうが、ほとんどは自分を助けて欲しがっているからだ。
彼らは生者を頼らないと移動すらままならないことも多い。
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