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俺には傷がある。
見ることも出来る。
なら……不可能ではないかもしれない。
足並みを揃えて歩き、外側の自動ドアを潜る。
一歩踏み入れただけで背筋が寒気立つ。
空調の冷気なのか悪寒なのか判別不能。
軽く吐き気もしてきた。
ガラス一枚を隔てて、異形の小人がこちらを見上げる。
病院の外からだとテレビでホラー映画を見る程度の怖さしかなかったが、目の前にすると全身を虫の大群が這い回っているかのような怖気が奔った。
「大丈夫?」
「大丈夫じゃないっぽいけど大丈夫、2つ気になってることがあるんだけど、1つだけ聞いていい?」
「なに?」
「どうしてこいつを助けたいって思ったの?」
「どうしてって……」
間近で見て怖気づいていたのは俺だけではなかったようで、彼も引き攣った表情でそいつを見下ろしていた。
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