それでいて当たり前な出来事

2/3
前へ
/41ページ
次へ
(チク…タク…チク…タク…)時計は廻る… 待ち合わせは午後8時… 渋谷ハチ公前に集合!! 友達に誘われて、ありきたりな日常のささやかな楽しみのために小1時間かけて駆け付けた場所 「コンパだ!!絶対来いよ!!」 そう言い残された留守電を頼りに僕は雑踏の中に立っていた。 「相変わらず人だらけだなぁ~渋谷は!!三人くらい人が減ってもわかんないんじゃね?」 僕は、思わずそう吐き捨てた。 「減らしてみろよ捕まるぜ」 笑いながらヨシアキは言った 。 2対2 ヨシアキの呼び出した女の子の到着 当たり前のように居酒屋へ移動し当たり前のように無難な会話は進んでいった。 ロングヘアーで茶色がかった髪型のとても今どきの女の子 紗耶香 ショートカットでメガネのよく似合う女の子 秋菜 (おおよそ夜の街が似合わない女の子) ヨシアキの主導で話は進んでいった。 そして二次会のカラオケへ移動の途中… 僕と秋は、はぐれて会話も無いまま歩いていると見知らぬ公園へたどり着いた。 「ヨシアキ達に電話した方がいいよね?」 僕は言った。 「うん…」 静かに秋菜はうなづいた。 そんなちぐはぐした会話の中… 一瞬 そうほんの一瞬だった… ゴつッ!! 何が起こったかわからない。 頭に走る激痛!! 「こ~んな時間にうろついてると危ないよぅ~」 痛みをこらえながらどうにか振り向くと5…6人だろうか? 見知らぬ男達が立っていた。 何が起こったか確認もままらない状況のなかでその内の数人に押さえつけられる。 「アキ…」 声にならない声で必死に叫んだ。 知り合ったばかり… 特に親しいわけでもない。 ただ…心配になった… 押さえ込まれた僕… 何もできない僕… 残りの数人につかまり押し倒された彼女はこちらを見て一言告げた。 「大丈夫だから…」 気のせいだったかもしれない。 小さな唇はそう言葉を発したように見えた。 そしてただ進行していく残酷な光景が目に焼き付けられて行った。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加