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真っ白な天井…
現実から無理矢理に引き離されたような感情…
ただ…
どうアガイテモ…
それはReal…
逃げ出せば
それは止まる…
なんて今時にありそうなRAP
先週まで好きだった歌…
耳にしながらあの出来事から逃げながら僕はただひたすら病室の窓の外を眺めていた。
実家から来てくれた両親は何も言わずに付き添ってくれた。
僕自身の怪我はそうたいした物ではなかった。
たまに訪ねて来る刑事さんの質問には嫌気がさしていた…
被害状況…
「君はこう殴られたんだよね?」
「はい…」
僕は答えた。
「それでもう1人…いや…君の友達は…」
…
だいたいこのあたりで刑事さんの声は薄れていくんだ。
代わりに聞こえて来るあの声…
「フフフ…」
「またか…」
僕はつぶやいた。
「ねぇ…どうしたいの?」
声は訪ねてくる。
「…」
僕は何も言えない。
「フフフ…」
声は笑う。
声は言う。
「わかってるくせに」
「…君にひとつだけあげる」
「何を!!」
僕は咄嗟に叫んだ。
「やっと答えてくれたね」
声は言う…
「自分以外の誰かの胸のあたりで…そうだなぁ…例えば、上から落ちてきた林檎を掴むみたいに手を握ってごらん…」
また声は笑う…
「フフフ…それはあげるからさ」
おも…し…ろぃ…よ…
「!!」
我に帰った。
たぶんこの表現がただしいのかな?
「とりあえず犯人を全力で追っていますんで…」
刑事さんの声が聞こえた。
「とりあえずか…」
僕はまたつぶやいた。
あの街で感じた疑問はきっと消えないんだろう。
声の話してた事を思いだす…
何気なくそれを目の前の刑事さんにしてみた。
そう…
何気なく…
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