DEPROCE

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 一人の少女が学校の屋上で、ぼんやりと青い空を眺めながら佇んでいる。五月のとても天気のいい日だった。  突然、ポケットに入れていた携帯電話から音が鳴り響く。ポケットから携帯を取り出すと「HAPPY BIRTHDAY」という文字が少女の目に飛び込んできた。友達からのメールだった。  今日は彼女にとって特別な日、十七歳の誕生日だ。  この十七歳という年齢は、彼女にとって特別なものだった。しかし何が特別なのかと聞かれると、いつも返事に困ってしまう。上手く理由を他人に説明出来る程、その理由を自分でも理解出来ずにいた。ずっと、早く十七歳になりたくて堪らなくて待ち遠しくて、それでも、その時が来るのが少し怖くて……きっと期待していたのかもしれなかった。何かが変わるきっかけが欲しくて。だからこそ、この年齢を区切りにしようと決めていた。このまま生き続けるのか死ぬのかを決めようと思っていた。どちらも決して簡単ではなく勇気のいる事だ。死ぬのは正直とても怖いけど、だけど、このまま生き続ける事もやはり恐ろしく、不安に押し潰されそうに感じる。  そうやって、長い時間、少女はその場に座り込み、ずっと考え込んでいたが、やがて意を決っした様な面持ちで立ち上がった。  そして、屋上から飛び降りた。
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