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「しかし、偽の刻印を見せただけで信じちまうとはなぁ」
「おかげで土地代やら税金やらをたんまり頂戴できやしたしね」
「オマケに追っ手から身を隠せるってもんだ!」
(追っ手…?)
ジアンはリーダーであろうタンク・アラブルと呼ばれた男の顔をよく見てあることを思い出した。
少し前にある町の役場でこの男の手配書を見たのだ。
"タンク・アラブル"
"賞金 金貨100枚"
(しめた!これは久々の稼ぎになるやん)
そう思い、この場を後にした。
タンク・アラブルたちは結局、ジアンには気付かず酒を飲み、高笑いをするだけであった。
時は晩ご飯時、日がだいぶ沈みかけている時間だ。
ゼロたちがお邪魔しているエクレアの家でも夕飯の準備が行われていた。
「ジアンさん遅いですね」
エクレアがつい口から出てしまった言葉にはっとなり口元に手を当てる。
そう、あれから大分たつのにゼロはまだ暖炉の横に座ったままだった。
意識が飛んでしまったのかと思うくらい虚ろな目で一点を見つめている。
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