一章 三人

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「何すんだよジアン!!」 「広いとこに移動するんや!あんな狭いところでまともに戦えへん!」 「はっはっはっ!怖じ気ついたか!!」 「……フレイムブレット!」 ゴォッ!! と後ろ向きの状態でジアンは杖から火の弾を打ち出した。顔は怒りの色に変わっている。 「あー!!ジアンだけずるいぞ!!しかも詠唱もない!!」 「俺はええんや!!」 そうこう言っている間に大きな広間に出た。 天井は高く、昔は立派だっただろう、シャンデリアがぶらさがっている。 広間のど真ん中に三人背中を合わせて構えると、どこからか聞き付けたのかタンク・アラブルの手下たちもぞろぞろと現れた。 「さ、ゼロ、テスト開始や」 「よぅし!!」 「フェレオは無茶せぇへんように」 「はい」 三人一斉に別方向へ散らばる。 三人が動くと同時に敵側も武器を手に向かってきた。 「よっ!」 ゼロは向かってくる手下一人を跳び箱のように飛び越えると、空中で詠唱し始める。 "火の精霊よ我手に魂となれ!" 「フレイムブレット!!」 ゼロの手のひらから生まれた火の弾が手下に直撃する。 「ぐあっ!」
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