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「ありがとうございます!これで父も出稼ぎから戻ってこれます!」
「あんなのちょろいもんだよ」
ゼロは鼻高々に威張っていた。
「威張るもんやないやろ」
ジアンはため息をつきながらそういった。
しかし、エクレアがとてもうれしそうなのを見ると、ジアンはそれ以上ゼロに何も言わなかった。
可愛い女の子の笑顔を作れたのだから、男なのだから少しは威張らせてやろうと大目に見ていたのだ。
「もう行っちゃうんですね…」
エクレアは少し淋しそうに言った。
「うん!俺たち旅の途中だからな!」
「そっか…本当にありがとうございました!」
エクレアは大きくお辞儀をすると、笑顔で三人を見送ってくれた。
三人は町を出て、川沿いの街道を進んでいた。
旅人や商人が入れ違う平穏な街道だ。
その街道をずっと進んでいくと、大きな山にたどり着くのだが、そこには二つのルートがあった。
一つは普通に山を越えていくルート。
もう一つは少し値は張るが、国が管理しているトンネルを使って抜けるルートだ。
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