一章 三人

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「ありがとうございます!これで父も出稼ぎから戻ってこれます!」 「あんなのちょろいもんだよ」 ゼロは鼻高々に威張っていた。 「威張るもんやないやろ」 ジアンはため息をつきながらそういった。 しかし、エクレアがとてもうれしそうなのを見ると、ジアンはそれ以上ゼロに何も言わなかった。 可愛い女の子の笑顔を作れたのだから、男なのだから少しは威張らせてやろうと大目に見ていたのだ。 「もう行っちゃうんですね…」 エクレアは少し淋しそうに言った。 「うん!俺たち旅の途中だからな!」 「そっか…本当にありがとうございました!」 エクレアは大きくお辞儀をすると、笑顔で三人を見送ってくれた。 三人は町を出て、川沿いの街道を進んでいた。 旅人や商人が入れ違う平穏な街道だ。 その街道をずっと進んでいくと、大きな山にたどり着くのだが、そこには二つのルートがあった。 一つは普通に山を越えていくルート。 もう一つは少し値は張るが、国が管理しているトンネルを使って抜けるルートだ。
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