一章 三人

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商人の町エンセン。 そこは大きな町で賑わいのある華やかな町であった。市場の賑わいは、立派な城のある国の城下町並である。 「あっ!こらゼロ!!迷子になるやないか!!」 ジアンは慌てて人並み分けて後を追い、ゼロの首根っこをつかみ、引き寄せた。 ごちーーん!! 鈍い音が響く。 ジアンの持つ杖で容赦なくゼロの頭を叩いたのだ。 「いってー!!」 「当たり前や!!だいたい…」 とジアンの長い説教が始まりかけたとき、 ガッシャーン! 大きな物音が近くで響いた。 「ああ!大事な商品が!!何しやがんだ!ガキ!!」 「す、すみません!」 騒ぎの方に行ってみると貧相な服装をした少女が店の売り物にぶつかってしまったようだった。 店のまわりに売り物が散らばってしまっている。 「すみません…」 「謝ってすむ問題じゃねぇ!どうしてくれるんだ!これじゃあ売り物にならないだろう!!」 「すみま…せん…!」 泣きそうな少女は謝り続けた。まわりも誰も助けようとしない。 今の次世代、貧相な少女に手を貸せるほど、裕福でないことを物語るように。
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