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(・・・・何もないな、気のせいかな?・・・しっかし・・)
暗い、 シュウヤはそう思った
路地は車が一台通れるぐらいの幅で縦列駐車のためにある左側のスペースには車が並んでいた
暗いと感じたのは、ここがビルの下にあり ちょうどトンネルのようになっていたからだ
雨が降っているせいもありこの空間だけは夜のようだった
なぜここが気になったのかシュウヤ自身もわからなかった
ピシャ
一歩進んだ、 もう靴も濡れている
「・・ん?」
歩きだしたのと同時に一列に並んでいる車の間から 人のようなシルエットが見えた
高さからすると座り込んでいるようだ
(・・・・あんなところでなにやってるんだ? )
近ずいていったらただ事ではないことに気付く
「おい! 血だらけじゃないか!? 大丈夫か 」
座り込んでいる男は衣服が汚れており、右の袖と腹部のほうに血がべっとりとついていた 腹に怪我があるようではなく
どうやらその血は吐血によるもののようだ
「・・・と、とりあえず救急車呼ぶぞ! 」
自分ができる最善の行動を選択したつもりだ
この男は何かの病気かどこか致命的な怪我をしている
間違いない! 俺がその場でどうにか出来るわけがない
携帯を取り出した
119番を押す
プルル・・・・プル、 ガチャ、
電話はすぐに出た
「あ、 あの、 人が血を出して倒れてます! 場所は北谷町の美浜・・・」
そういいかけてシュウヤは ハッとした
男が自分をジッと見ていた
いつからだ? いつから見ていた?
それより意識はあったのか?
『もしもし!・・・どうしました? 北谷のどこですか?! 』
持っていた携帯から救急員の声が聞こえた
しかしシュウヤは携帯を耳元から下ろしていたためあまり聞き取れなかった
「・・・・・・」
シュウヤは硬直した
男の瞳はまるで この世の者ではない
・・・いや、 見たことがない どこまでも闇に引き込むような 生きているとは思えない瞳
・・・・・・・・・
シュウヤはこの場から動けずにいた
ただ雨の音だけが響き渡る
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