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白い壁
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釣れない・・・・・
カズマは友達であるマコトと地元の海で釣りをしていた
この前の台風で海はかなり荒れた
おまけに満潮の時刻を狙って釣りを始めたんだが、 今回は手応えがない
「あ~、もう1時間ぐらいなんもかからんな 」
マコトがグチを言っていた
「 う~ん、こっちはダメかな? 」
餌のエビを仕掛けにつけながらカズマは言った
「ここがダメならこの場所は今日はこないな、 俺らがいる場所がポイントだからよ 」
マコトはもってる竿を石の間に立て掛けて 寝っころがった
カズマも同じようにして 仰向けになった
じばらく空を見上げてた
少し離れた場所で釣りをしていたオッサン達が 魚が掛かったらしくはしゃいでた
「・・・・・」
どうやら釣れたみたいだった
「なんでだ?」
二人は同時にぼやく
「そういえば、 連絡あった?」
「・・・誰から?」
突然の質問に カズマは理解できず 聞き返した
「シュウヤさん・・・先週の飲み会に来なくて あれから仕事もでてないらしい 」
釣り具を片付けながらマコトが言った
「 マジ?、 あの人どこ行ったば? まぁ突然いなくなるのはいつものことだからなぁ」
5月16日3時20分
カズマ(20)とは中学からの友達であるマコト(20)と釣りをするため宜野湾漁港に来ていた
カズマの携帯が鳴りだしたのは 二人が帰るしたくをし車に乗り込んだ直後だった
マコトが先に携帯のバイブに気付く
「・・・・・おい、携帯なってるぜ 」
トランクで荷物をつんでるカズマは 運転席にいるマコトに携帯を持ってきてくれと頼んだ
カズマは携帯を受け取り画面を確認する
(・・・しらん番号だな)
まぁ いいやと 携帯に出る
「はい、もしもし・・」
『サキヤマ カズマさんですか?』
聞きなれない声
「・・・・あ、 はい・・・誰ですか?」
『実は・・・・・
電話の主からの話しを聞いて、 カズマは戸惑った
身近な人が死ぬというのはあまり経験がない
いや、ほとんどないだろう
小学生のとき 施設の叔父さんが亡くなったとき 棺桶に入っている叔父さんの姿を見たときのことを思い出した
二人はしばらく立ち止まった
辺りに香る 海の潮風だけが音とともにながれている
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