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幸せと言うのはこういう事なのかも、しれない。
妻がいて、娘がいる。暮らす場所があり、働く場所がある。ありきたりな幸せだが、私にとっては十分すぎる程だ。
これ以上を望むとするならば、平和な生活を営みたいと言うくらいだ。
私の住む国、マティス地方の「モスク王国」は世界の中でも北に位置しているため、一年の半分が寒い冬を耐えなければいけない。
国土が広いため、南に下がれば四季を感じることもできるため、移住してくる人々も多い。
私の住む「首都カノン」は幸い、南に位置しているため、他の街よりは暖かくて済んでいる。
今はフォルセティの時。
植物が目覚める季節だ。
仕事場から見える花並木がもう満開になっている。
次の休みには、家族三人で花見に行く約束をした。
10歳になる娘のドロシーとはなかなか会う時間が少ないため楽しみにしている。
急に、バシッっと頭を叩かれる。
「何サボってんのよ。アンタ、それでも隊長?しっかりしなさいよ」
振り返ると、軍師の「ミルストーヴェ=クロスハート」が立っていた。
「サボってはいないぞ。ただ考えごとを…」
「それがサボってるっていうのよ。そんな事より、国王がお呼びですよ」
いつものことだが呆れた表情を浮かべられる。入隊してからの腐れ縁のため、今では気にしなくなった。
「わざわざありがとうな、ミルティ」
私は謁見の間に向かうことにした。
私はジヴラシア=フラッグ。仕事は国王の護衛隊、その隊長を勤めている。
これでも刀使いとしては有名だ。
この国に15の時に仕えて、13年も立ってしまった。
お陰でもうすぐ30歳になってしまう。
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