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モスク国国王「イーグル=ヴァンダード」。
彼は隣国トスティの「グヴィン=パルジャナス」と共に、未だ内戦の絶えない他国の難民を引き受けるなど、「民を始めに」という姿勢が、民衆からの評価が高い。
中に入ると、初老を迎えようかという長身の男
―国王イーグル―がくつろいでいた。
「来たか、ジヴ。実は相談したいことがあってな」
「私ではなくて、ミルティにした方がいいのでは?」
イーグルがお茶の準備をしている。
国王ながら威張るということをしない。こういう庶民的な所が私は好きだ。
「まぁ、お茶でも飲んでくれ。今日はチコルから仕入れた緑茶だ」
「ありがとうございます」
緑茶は最近飲んだ中では美味しかった。
よくここに来ると飲み物を頂く。
ローズティーやミルクティー、煎茶やドクダミ茶など、世界中のお茶を集めて楽しむのが彼の趣味だ。
「さて、本題だか。最近ニューランドで不穏な動きが見られるんだ。現にトスティにシグルト王の側近の「アクアリス=シリング」が亡命してきたと聞く」
「あの男がですか…。しかしシグルト王は民を虐げるような事はしないと思いますが」
困った顔をして国王イーグルは答える。「そうなんだよ。歴代の王の中でも彼は素晴らしい能力を持っていると私も思っていたからね。」
二人の男の溜め息が漏れた。
「密偵を送る前にトスティにいるアクアリスに話を聞いてからでも遅くないんじゃないですか?」
「そうか…、いやそうだな。闇雲に動いても仕方がないな。時間を取らせて悪かったな、ジヴ」
「いえ、気にしないでください。隊の中から一応、選抜隊を作っておきます」
「よろしく頼むよ」
残っていた緑茶を飲み干し、部屋を出た。
部屋の外にミルティが待っていた。
「終わった?ジヴ」
「ああ」
改めて見ると身長が高いと思った。ヒールのせいもあるが、175㎝ある私の身長近くあった。
「…?なんか付いてる」
「いや、なんでもない」
「向こうで可愛らしいお客様がお待ちよ」
誰だかすぐにわかった。
「じゃ、行くよミルティ。わざわざありがとう」
後ろで彼女が手を振っていた。
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