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部屋につくと、野太い声で、「サイコ~です!」や「うめ~!」と騒いでいるのが聞こえた。
「リリィ、いるのか?ドロシー連れてきたぞ」
「すみません、あなた。アップルパイを作ったから皆さんにもと思って…」
彼女は長いウェーブのかかった髪をなびかせ私に近付いてきた。
最愛の妻、リリィ=フラッグ。
「お母さん、私ちゃんと届けたよ!」
ドロシーはリリィに抱きつく。
娘はリリィに似ていて、目元なんかはそっくりだ。
「えらいえらい。よくできました」
妻に頭を撫でて貰うのがドロシーのお気に入りらしい。
「後で私もいただくよ。弁当まで用意してもらってすまないな」
「気にしないでください。…じゃ、邪魔になるから失礼しますね」
「お父さん、今度の休み楽しみにしてるからね!」
「ドロシーも、いい子にしてないと連れて行かないからな?」
「はーい」
手を繋ぐ二人を見送った。
本当はもっと家族で一緒にいたいのだが、なかなか仕事のせいで、それが叶わない。
今度の休みを娘はとても楽しみにしてくれているとわかってうれしく思った。
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