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あの後部下たちの剣術稽古に付き合い、残っていた隊の雑務をこなした。
大きく息を吐く。
すると横からコーヒーを置く、大きな手が見えた。
「お疲れ様です。隊長」
「すまないな…アゼル」
「いいんですよ、これぐらい。それで話って何ですか?」
アゼルはソファに腰かけ、自分の入れたコーヒーを飲みはじめた。
私は王との会話の内容をアゼルに伝えた。すると彼は少し困った表情を浮かべた。
「噂はどうやら本当にらしいですね。アクアリスさんのほかにも亡命してきた者がいるんですよ。うちの国には来てないだけで。南のシードやトスティの上にあるロンサエガには何人か。俺の知り合いもシードに亡命したらしいんですよ」
「早くトスティにいるアクアリスに会わないとな…。話が見えないよ」
入れてもらったコーヒーを飲む。
アゼルは私の好みを熟知しており、薄めで少し甘めのコーヒーを入れてくれていた。
「まぁ、隊長は休んでください。しばらく休んでなかったでしょ?ドロシーちゃん楽しみにしてるみたいだったし。いない間は俺とミルティさんでどうにかしますから」
「…じゃあ、おまかせしますか。本当は休まないでトスティに行こうかとも考えたりしてたんだが」
「働きすぎですから…。生真面目過ぎてコッチが困りますよ」
呆れ顔でアゼルが私に言った。
確かにそういう部分があり、よくそれをリリィやミルティに咎められることは多々ある。
もう少し肩の力を抜いていいのかもしれない。
アゼルの一言でそう考えさせられた。
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