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「早くこっちこっち!!」
「ちゃんと前を見て走りなさい、危ないわよ」
静かな湖に明るい声が響く。
街の近くにある、海水が湖と繋がっている事で有名なセリフォス湖に三人でやってきた。
ここは花の名所としても有名で、この時期にはよく観光で訪れる人々が多い。
「やっとゆっくりできますね。しばらく忙しかったからドロシーが拗ねるところでしたよ」
リリィがイタズラめいた表情を浮かべながら話しかけてきた。
「わかってはいるんだが、立場が立場だからな…」
「アゼルくん、もう少し頼ってくれていいのにってこないだ話してたわよ」
「本人からも言われたよ。任せろってさ。信頼してはいるんだか、自分の仕事を押しつけているようで申し訳ないんだよ」
リリィが手を握ってくる。
ドロシーは視界には入っているが遠くにいる。
「そういう所が好きですよ。みんなもきっと…。だから心配してるんですよ」
妻といるだけで心が和む。
安心できる存在だからこそ一緒にいれるのだろう。
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