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大阪府内の閑静な住宅街にひっそり建つ工場。外に捨てられているボツになった印刷物で、この工場は印刷会社だと容易に判断できる。もちろん外観だけでなく、この『素芸印刷株式会社』という小さな看板が、この建物は印刷会社である事をうったえている。
グレーのコンクリート壁の少ない汚れから見ると築二十年くらいだろうか。独特の雰囲気を漂わせている。
印刷と言えば、広告減、ＣＤ等の新媒体で不況産業の代表格のイメージがある。時々しか聞こえない機械の音に、付近の人は潰れてはいないが、この会社は先があるのか、と、心配そうに遠巻きに様子を見るだけだ。
だが、この会社はいわゆる印刷会社と違う。アマチュア作家が創作や、ファン活動による二次創作のために作る、同人誌の印刷を中心にうけもっている。
そう言われると、外のごみ捨て場らしきスペースに積まれたボツの印刷物も、漫画や小説が多い。しかも人目についていいのかと思うような、過激な内容の絵柄も珍しくはない。付近の人は気付いているのかいないのか、今日も静かな一日が始まる。
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