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そうだ。私はそこに行こうとしていたのだ。どうして忘れていたのだろう。こんなに重要な事柄を、私が生きて存在するその意義を。
忘れてはいけないことだったはずなのに。
「では、もういいですね」
少女は嬉しそうに微笑んだ。
私は頷いて、彼女に感謝の言葉を述べた。
「さよなら」
少女は消えて私は残された。彼女は彼女の場所へと戻ったのだろう。私が私の場所へ戻ろうとしているように。
空から白いものが落ちてきた。たくさんの、小さな、不安定な、水の結晶。それらは地表に落ちて消えゆく。
時空に溢れている奇蹟の一つだった。この世界には奇蹟がありふれている。私はずっと立ち止まっていた。時間の経過は意味をなさなくなっていた。
綿を連ねるような奇蹟は後から降り続く。
これを私の名前にしよう。
そう思い、思ったことで私は幽霊ではなくなった。
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