会わせ鏡

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そして私は大学を訪れた。まともに出歩くのは久しぶりだ。 教室に行ってみると彼女はいた。私は彼女を秋ちゃんと呼んでいる。 「あ!」 秋ちゃんは私を見て驚くが、すぐに柔らかい表情になった。 「久しぶり」 「うん……久しぶり」 「会わせ鏡の事でしょ?」 私は頷く。その為に学校に来たんだから。 その後、秋ちゃんから内容を聞いた。 その内容は、 全身が写る鏡を二枚用意し、部屋の中央にある程度距離をとり、向かい合わせて置く。 そしてその鏡の間を三回往復するだけらしい。 そうすれば、どちらかの鏡を覗けば自分の後ろに会いたい人が立っているのだと言うのだ。 そのかわり、何があろうと絶対に振り向いてはいけないのだと言う。 直接見ようとしてはいけないらしいのだ。 それを全て聞いた後、私は嬉しかった。どのような形でもさっちゃんに会えるのだから。
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