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「僕達は天使と悪魔です。貴方と交渉しにきました」
そんな事を言う二人の子供が目の前にいる。
一人は白い服に、かたや黒い服をきた少年。どちらも中性的な顔をしている。
さて、俺は今意識不明の状態らしい。
らしい、というのは医師が話しているのを聞いていたからだ。確かに身体は寝てはいるが意識は起きているというのに。
そもそも、何故俺自身が意味の分からない状況に陥っている事を説明してみればつまるところの交通事故。
二トントラックに轢かれて普通は即死のところ、奇跡的に一命を取り留めたらしいのだ。
死ぬのは真っ平ごめんだ。さらさら死ぬのなんて。折角自営業の会社も軌道に乗り始めたのにこれじゃあんまりだ。
「交渉なんて必要ない。俺は死ぬ気なんて無いからな」
俺の言葉に二人の子供は目を合わせ、クスリと笑う。
「その事で僕達は、」
「交渉しに来たんだ」
綺麗にユニゾンする二人の子供。
「どういう意味だ?」
俺は思わず聞き返していた。
「貴方に生きるか」
「死ぬかの選択をさせてあげるのです」
子供達は再びニヤリと笑った。
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