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「大丈夫だ。お前がそんな事だと予測していたからあらかじめに行方不明になった子供の親には大体の話は聞いてきている」
多少、言い方には刺があったがその通りだと心の中で頷く。
先輩はポケットから手帳を取り出し、私に投げる。
早速開いてみたところ、中にはやけに綺麗な字が並んでいた。
男の子七歳。公園で遊んだその夜に突然姿を消す。
女の子六歳。同様に公園で遊んだその夜に姿を消す。
女の子七歳。同様に……
「先輩、これって……それに公園は……」
「そうだ。消えた子供が全員同じ理由なんだ。そしてお前の疑問は正しい、その子供達が遊んだ公園というのが」
ここだ。
先輩は地面を指差す。
「おかしいじゃないですか」
「そうだ、おかしいんだよ。そしてさらにおかしいことがある」
「?」
「ここいらでは有名らしいが、廃墟になった一軒家に人の気配がするって噂があるらしい」
「そこにいけば手掛かりがつかめると?」
「おそらくな」
……おかしい。
あまりにも簡単に事が運び過ぎている。これに違和感を感じるな、というのは無理だ。
なんとも言えない畏怖感とでもいうのか。
とにかくさっぱりしすぎている。
「なんだ。すぐ解決しそうですね」
「可能性があるだけで解決じゃないだろ?」
「そうですけど」
「なら文句を言ってないでさっさといくぞ。その廃墟とやらに」
先輩はそういって私を置いてさっさと歩いていってしまった。
私は追いかけるためにベンチから腰をあげた。
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