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「ハルちゃんとおままごとー!」
十年前、人形を相手に小さな私はそんな事を言っていた。
無邪気な私。
小さな、そして内気で友達を作れなかった私。
私は昔の自分が嫌いだ。
どうしても友達が作れなかった私に祖母が人形を与えてくれた。
古めかしいフランス人形。
私はその人形をハルちゃんと呼んでいた。
毎日話しかけ、毎日遊び、毎日一緒に昼寝をしていた。
そんな私が私は嫌いだ。
それが私、神地恵美(かみじえみ)のパーソナリティ。
そんな小さかった私も成長するにしたがってそれなりに世間の枠組みに順応してきたらしく、ハルちゃんと呼んでいた人形とは遊ばなくなっていた。
フランス人形は今では物置の中に押し込んである。
今ではその人形があったことすら忘れかけていたくらいだ。
人形なんて、そんな風に考えいたけど甘かったのだ。
人形なんて、じゃとてもじゃないけど余りに無謀過ぎたのだ。
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