人形の心は人の形に

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授業中、先生の講義など聞きもせずに莢とずっと話して時間を潰し、早くも放課後。 正直、しおらしさ、なんてものは皆無な私であるから人目を憚る事なく立ち漕ぎをして早々帰宅。 我ながら惚れ惚れするタイムだ。 「あら?早かったわね。おかえり」 母が物置に頭を突っ込んだまま言う。 まったくこの人は……なんて言える訳もない。事実私もこの母の遺伝子を確実に受け継いでいるのだ。 この遺伝子は子々孫々まで受け継がれるであろうな。 「何探してんのよ?」 「んー?ちょっとねー……あ」 「あ?」 「あったあった!」 歓声をあげながら母は何やら訳のわからない箱を取り出した。 「何それ?」 「あら?忘れたの?小さい頃よく遊んだのに?」 母はクスクス笑いながら箱を開けた。 中には古こけたフランス人形が入っていた。 そのフランス人形と目が合った気がした。 まるで私を観察しているような目だ。 「ちょっと思い出したからさ、居間にでも飾ろうかとおもってさ」 「やだ、気持ち悪い。捨てようよ」 「だーめ。今ではおばあちゃんの形見みたいな物なんだし」 母は人形の服を手で叩きながら家の中へと入っていった。 人形はじっと、こっちに目を向けているようだった。
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