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……
結局、二階の部屋を隅々まで調べ回ったが何も見つからなかった。
あの視線も結果、わからずじまい。
「先輩!何もありませんでしたよ!?」
一階に向かって叫ぶも何の反応もない。
「先輩?」
一階に降りてみると、先輩は呆然と壁の前に立ち尽くしていた。
「先輩、大丈夫ですか?」
私が目の前で手を振ると、先輩は我を取り戻した。
「あ?あ、ああ。二階はどうだった?」
「なにも。収穫なしです」
私は手をあげておちゃらける。
あまりに拍子抜けすぎたから。
先輩は、そうか、とだけ言って場を濁すような態度をとっている。
「何も無かったな。とんだ無駄足だったわけだ……今日はもう帰ろう」
「はーい」
「……なあ、神奈」
「何ですか?」
「公園で何か見なかったか?……いや、誰か、だな」
「誰か……ですか?別に私達以外には誰も公園にいませんでしたけど?」
「……そうか、何もみらなかったのならそれでいい」
そういって先輩は廃墟から出ていってしまった。
そして次の日
先輩が消えた。
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