まばたきを忘れて眼を痛めた日

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 ある日の午前中、いつものように検診を終えた医師が突然「よしっ状態も良好だし、明日・明後日と外泊してきていいよ」と言ってくれた。入院してからは初めての言葉だった。  家族に連絡して、迎えに来てもらうことになった。最初は戸惑ったが、家族の到着を待つ間、2年ぶりの帰宅に、嬉しさがこみ上げてきた。  夜、両親が仕事帰りに駆けつけてくれて病院を出た。外に出てめいっぱい深呼吸をした。外の空気…どこまでも広がる空…行き交う人たちの声…久しぶりに乗った車…車から流れる景色…すべてが新鮮だった。まるで初めて見るかのように夢中で見つめていた。  その時はちょうど雪が降っていて、あたり一面雪景色になっていた。大好きな冬の季節に、外に出られるなんて夢のようだった。
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