乱文たちの巣窟

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繋がらないねと呟けば、君はぼんやりとしながらもはっきりとした返事を返してきた。僕はずっと君のお腹を撫でながらいつか授かるだろうと安易に考えている。 駄目なのかな。 僕は何も言わずにただ黙って撫で続けていた。実際は、返す言葉がみつからなくて何も言えなかった、だが。 さようなら赤ちゃん。 表情の無い顔で今度は君が呟く。無性に泣きたくなった。 永遠に、さようなら。 僕はとうとう耐えきれずに泣いてしまった。唇を噛み締め声を出さないようにしようとしたけど余計に苦しくて。小さく聞こえた嗚咽に心が痛んだ。次の日に医者に行ってみようと、僕もついて行くからと震える肩をなでてその日は終わった。君は涙を見せずに震えたまま。 次の日も君は涙を見せずに震えていた。命の生めない体で。 本当に泣きたいのは君なのにね 涙まで渇れはててしまったのなら 僕はまた涙を流す 君の分まで。
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