I hate trombones

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「あの笑顔、今でも忘れられないんだ」  照れた様な悲しそうなそんな表情の男性、エルメスの父親であり、楽団の指揮者のマリーニは湯気の昇るカップを見つめながら話します。  出された食事を丁寧にそして少し遠慮しながら頬張る女性は、真剣にその話に聞き入りました。 「昔から私の演奏を、誰が強制した訳でもないのにいつまでも聞いていてね」  大きな目が揺れたのを確かに見た女性は、最後のお茶をいただきながら少し視線を外しつつも、変わらず真剣に話に聞き入りました。 「父を越えるトロンボーン奏者になるんだ、なんて言ってたんだ。もしかすると私はその言葉に固執し過ぎていたのかもしれない」  おかわりを勧めるマリーニに、女性はお礼を言っていただき、優しい笑みを向けました。
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