There is no tone

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 ―人の女性がいました。  耳に掛からない程短く切った美しい黒髪を持つ女性。  鞄一つだけ持って、世界一の音楽を探す旅をしていました。 ―――――  かけていたサングラスを取り、目の前に広がる太陽の光を浴びて輝く木々を見つめます。  頬を撫でる様に吹く風が、木々をも撫でて美しい自然の音色を響かせてくれます。  そんな音色を聞きながら、そこだけが草や花が咲いていない、土がむき出しになった道を、奥へと歩いて行きました。  しばらく歩いた所で、どこからか鳥の鳴き声にも似た、小さくて美しい歌声が聞こえて来ます。  道を反れ、声のする方へ進んでみると、突然視界が開けて小さな丸太小屋が現れました。  そこには、丸太小屋の側にあるイスに座って歌っている少女がいました。 「こんにちは」  女性が声を掛けると、ビックリした少女は慌てて手で口を塞ぎ、笑顔を消してしまいました。
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