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「本当に。こんなにも美しい歌声は今までも、そしてこれからも聞く事は無いでしょう」
微笑み返す女性は、置いていた荷物を持ち上げ、付き人の男に少し頭を下げて挨拶しました。
「行かれるんですね。ご挨拶はされませんか?」
「えぇ。今会ってしまったら、私きっとこの歌声から離れられなくなりそうですから」
「そうですか。では私から伝えておきます」
国の外れ近く、愛音が住んでいた丸太小屋の近くまで見送りに来てくれた付き人の男は、小さな封筒を女性に渡し、深々と頭を下げました。
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