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ずっと一緒にいた。
昔から、話し相手と言えばコイツで、何をするにも一緒にいた。
[なぁ~?]
[ん?]
少しの間、離れ離れになっていた。
遠く…そう、手を伸ばしても届かない距離。
[俺たち、いつぶりの再会?]
座ったまま目の前にいるコイツを見上げる。
いつもと変わらない、何にも感じていないような顔。
[さぁ?どれくらいだろうな]
その口から出る言葉は昔よりうんと少なくて、簡潔。
会わない間にお互い随分と変わったもんだ。
お喋りになった俺。
無口になったコイツ。
会わなかった年月をバカみたいに数えていたのは俺だけ?
[…何を難しい顔してるんだ?]
[べっつにー。俺だってたまには考え事しますよー]
[似合わないな]
薄く笑みを浮かべて目の前にしゃがみこむコイツの顔に心臓が一回大きく脈打った。
やべぇ…反則だろ、その顔は…
相変わらず綺麗な顔しやがって、自覚してんのかコイツ…。
[何か不安?]
俺の顔を凝視する切長の青い目。
何が不安って、そりゃこの先の事しかないでしょうが。
俺たち、また一緒にいられなくなるかと思うと不安で胸が痛くなる。
[不安なんてねーよ、うん]
素直になれないのはこんなこと思ってるなんて悟られたくないから。
だって、格好悪い。
バカみたいな事に不安になって縮こまってるなんて思われたくない。
そんな俺の考えを知ってか知らずか、コイツの手が俺の手を取る。
少し、冷たかった。
[なんだよ?]
[お前、隠し事は止めたほうがいい。全部顔に出てる]
[うっ…]
また薄く笑うと、小さく俺の手の甲にキスをした。
数秒間思考停止…
そんな俺の反応がおかしかったのか、柔らかく笑うと小さく言葉を溢した。
[誓いのキス。これからは離れない]
誓いのキス―
その言葉が頭の中をグルグルと廻る。
[一緒にいる]
[…ばっ…バッカじゃねーの!!]
素直になれないのは照れ隠し。
まぁ、隠したってコイツなら見抜いてしまうのだろうけど。
そんな子供な俺の悪あがきを、滅多に見せない笑みで包んでほしい。
[お前ってやっぱ可愛いな]
[可愛くねーよ!!つか、それ誉め言葉じゃないからッ!!]
[そう?]
[そう!!]
いつまでもバカやってたいな。
こうやって、ずっと、ずっと…
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