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今、僕は列車に乗り
鞄ひとつ、共に向かうよ
下駄を鳴らし、坂道を登ると
湖に花火が映った
10年前、大きな手に
連れられ、訪ねた故郷に
揺られて蘇る
数々の夏の思い出
暗闇におびえて、眠れなくて
大きくなるたびに、変に大人ぶって
何故か照れくさい気持ちが、いっぱいになっていく
僕に古い唄を
聞かせてくれたね
おばあちゃんの袖をにぎりしめて
広がる空、夕焼けこやけ
草笛吹く風、季節は変わり
大きくなるたびに、変に大人ぶって
何故か照れくさい気持ちが、いっぱいになっていく
こんなにも時が経ち
僕の背も伸びて
やっと辿り着けたよ
やっと言えるよ
坂の途中で、落ちる砂時計
崩れる祖国
線路沿いの小道に、錆付いた古いラッパ
板張りの駅舎からは、変わらぬにおいがした
手縫いの財布にぎりしめて
大きくなるたびに、変に大人ぶって
何故か照れくさい気持ちが、いっぱいになっていく
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