涙のマウンド

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バッターボックスの達也先輩を見ると、 「よく走った」と言っているかのよぉに… 満面の笑みを僕に向けてくれた。 試合は緊迫度を増す。 2球目…ボール… カウント、 ノーツーで迎えた3球目だった。 カキーン… 達也先輩が振ったバットはピッチャーの投げたボールを跳ね返し… 三遊間を抜ける… 僕は走った。 無我夢中で走った。 3塁コーチャーは止まれの合図を出していたけど、僕はホームベースを駆け抜けられる自信があった。 そんななんの確信もない自信を持てるくらい、 その時の僕は速かった。 3塁を回ったところで、 レフトがホームへ返球するのが周りの声でわかった。 アウトになるものか!! 達也先輩の執念のヒット… 絶対に僕が試合の均衡を破る、先制のホームを踏むんだ!! ザァ-ズズズ~… 頭から滑り込み、 精一杯手を伸ばした。
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