第一章

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「はぁぃ、もしもし。」 「んもぅ、やっと電話が通じた。」 美礼も受話器越しに溜め息をついてる。 「あー…。ごめんね。」 「久し振りにたまには麻衣、帰っておいで。そんなにそっちは住みやすいの?」 聞きなれた声はひとときの安心をくれる。 "美礼 ありがとう" 地元を離れて連絡をくれるのは美礼くらいだ。 「もうすぐ5月になっちゃうよ。きっと省吾。待ってるよ。」 言葉が出てこない。しばらくの沈黙の後、寂しそうに呟くように答える。  「省吾に会う資格なんて私にはないよ。」  その後に茶化すように私は言葉を続けた。
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