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「はい、タオル」
俺は永澤にクローゼットからタオルを出して、ポンと投げた。
永澤は「ありがとうございます」と言って受け取った。
そして、永澤はこう続けた。
「今日、泊めてもらっていいですか?」
「はぁ!?」
俺は永澤のその発言に驚き、突っ拍子もない変な声を挙げてしまった。
「そんなの駄目!自分の家に帰って寝ろ!」
「…だって、家の鍵を会社に忘れて来ちゃったんです」
「取りに行けば、いいだろ」
「でも、この時間に行けば私…帰ってこれないかもしれません」
現在22時半過ぎ、俺の家から駅まで徒歩10分電車で会社まで乗り継ぎなんかの時間を考え45分、更に駅から会社まで徒歩10分……ああー考えるのウザイ!
確かにギリギリかもしれない。
でも、だからって俺の家に泊まることはないだろう。
「他にもいくらだって泊まる所あるだろ?友達の家とか」
「雨に濡れて壊れちゃったみたいで……」
永澤は携帯を開いて消灯している液晶画面を俺の方に向けた。
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