1.お泊まり

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「はい、タオル」 俺は永澤にクローゼットからタオルを出して、ポンと投げた。 永澤は「ありがとうございます」と言って受け取った。 そして、永澤はこう続けた。 「今日、泊めてもらっていいですか?」 「はぁ!?」 俺は永澤のその発言に驚き、突っ拍子もない変な声を挙げてしまった。 「そんなの駄目!自分の家に帰って寝ろ!」 「…だって、家の鍵を会社に忘れて来ちゃったんです」 「取りに行けば、いいだろ」 「でも、この時間に行けば私…帰ってこれないかもしれません」 現在22時半過ぎ、俺の家から駅まで徒歩10分電車で会社まで乗り継ぎなんかの時間を考え45分、更に駅から会社まで徒歩10分……ああー考えるのウザイ! 確かにギリギリかもしれない。 でも、だからって俺の家に泊まることはないだろう。 「他にもいくらだって泊まる所あるだろ?友達の家とか」 「雨に濡れて壊れちゃったみたいで……」 永澤は携帯を開いて消灯している液晶画面を俺の方に向けた。
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