プロローグ

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クチュ…ピチャ… 静かな研究室に、そんな音だけが響く。 彼の手が、私の肩を掴む。 私の指は、人差し指だけが、彼に触れる。 その指の位置により、彼の息が乱れる。 彼の唇は、私を食いつくかの様に、しかし決して乱暴ではなく、優しく唇を噛む。 思わず甘い声が洩れる。 「うちらってどんな関係やねん」 彼が笑いながら言う。 そんな世間に合わせて定義する必要なんてない。 そんな思いを伝える代わりに、私が彼の唇を奪いに行った。
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