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私は自分の命を、自ら絶ちました。
希望? 明日への希望? 私にとってそれは自分を更に辛くするもの以外の何物でもなかった。
絶望? そんな生ぬるいものじゃない。生きてる事を終わらせてしまう以外私の幸福は無かった。
幸福? 違う……安息。『死』以外の安息を、私は見つける事が出来なかった。
全てが終わってくれたと思った。これで悩む事も、泣く事も、苦痛を感じる事も、裏切られる事もない。
全てからの解放……。そして……『無の安息』に私は包まれる。
はずだった……。
しかし今、私には意識がある。生き延びてしまったのか? 私には死ぬ事すら許されないのか?
意識はあるのに、感覚は何も無い。他人に最大級で迷惑をかける形で死に損なってしまったのだろう。
最後の最後まで、私はこんな人間なのか……。
『いっその事苦しまず死んでくれたなら、悲しんであげる事も出来たのに』と言われるのだろう。
耳が聞こえないなら助かるのだか、風に揺られて騒ぐ桜の枝葉の音がそれを否定していた。
閉じている目は、見る事が出来るのだろうか? 開けたところで見えるのは絶望だけだろうが……。
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