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闇の中、弱々しく輝く水銀灯が照らしだす光景は、私が想像していたものとは全く異なっていた。
夜中に学校に忍び込み、屋上から身を投げた私に見える光景は、冷たく無機質なアスファルトだと思っていたが、私はそのアスファルトの上に立っていた。
自分では立っている感覚が無いので、実際どのような形でそこに存在しているのかは解らないが、校舎を見る視線の高さは普段見慣れたものだった。
ぼやけた感覚で前に進もうとすると、確かに歩くような感じで進む事が出来た。
すると、水銀灯が闇を切り取る輪郭の端にそれはあった。
赤い水溜まりに埋まる、無様に潰れた肉塊……。
薄灯りに浮かぶそれは、見覚えのある服を着ていた事から、惨めな自分の亡骸だと解った。
(それなら、私を見ている私は何?)
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