27人が本棚に入れています
本棚に追加
もしかして幽霊? 私はそんなものになってしまったの?
別にこの世に未練なんか何も無いのに、何故私はこんな所にいるんだろう……。
今すぐにでも消えてしまいたいのに、何故ここにいなければならないの……。
どうやらこの場から遠く離れられないらしい私は、水銀灯の薄明かりに淡く照らし出されている、只の肉と骨の塊となってしまった自分の亡骸を暫く見つめる事になった。
もし私が普段の状態でこの惨状を見たなら、間違いなく目を背け嘔吐していたに違いない。
しかし不思議な事に、今は何故かとても落ち着いている自分がいた。
目の前にあるものが、他の何物でもない自分の亡骸だからだろうか。
『近づいてみよう』
普段であれば決して起こり得ない感情が私の中で生まれ、そのまま抗う事なく私の意識は『私だったモノ』の元へと近づいていった。
血溜まりの付近には、頭からはみ出た脳漿が、砕けた勢いで飛散している。
当然四肢に到っては、あらぬ方向に曲がっていたり、関節以外の部分から曲がり、皮膚を突き破って露出した骨が赤黒い血色を滴らせながら、白く浮き出て見えた。
最初のコメントを投稿しよう!