導き

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「もういいだろ父さん。あれからもう少しで十年経つんだ。諦めろって」 空の色が紅から漆黒に染まろうとしている最中、俺は今までの父さんに終止符を打とうとした。 しかし、俺の言葉はただその場の空気に消えるだけだった。 「いい加減にしろよ!!一体これから何年母さんを探すつもりなんだよ!!」 俺の怒鳴り声には、父さんは流石に体を止めた。 「……父さんはこれから先何十年も探し続けるつもりだ。何回も言わせないでくれ」 過去に何回も言った俺の問掛けに対し、今回も父さんは冷静に同じ言葉を返した。
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