淳の訪問

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葉山早紀は、『葉山クリニック』の小さな立て看板を表に出し、室内に戻った。 ちょっと外にでただけでも、頭や肩に札幌の雪が積もる。 今年は雪が多い、と早紀は思った。 ―…年が明けたら、どうなってしまうのだろう? 診察室にしている部屋の、パネル式暖房機のスイッチを入れる。一階な為、患者が来るかなり前に、部屋を暖めておかねばならない。 早紀は、少し開き気味にブラインドを調節した。日光に対する手段ではない。プライバシーを守る為、この広い窓にブラインドは不可欠だ。
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