271人が本棚に入れています
本棚に追加
虐待死したその男児は発見された時、頭からスーパーのビニール袋をかぶせられ、もみじのような小さな手を
後ろ手に縛られ、体を『く』の字に曲げていた。
若い母親は、半狂乱だった。お仕置きだった、まさか死ぬなんて、――と。
かぶせられたビニールの中で、大好きな母親に、水が飲みたいと訴えたのだろう。
悪臭を放つ部屋の壁には、クレヨンで描かれた、母親の笑顔が貼られていた。
尚美の精神を崩壊へ導いたのは、この時の事件がきっかけだと、後に判明することになる。
最初のコメントを投稿しよう!