淳の訪問

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診察室と繋がる、奥まったキッチンへ行くと、早紀は水を汲み、ワイパックス錠を口に放り込んだ。 溜め息をつく。 顔を横に向けると、臨床心理士の免状が、壁に掛けてあるのがまともに目に入る。 自己満足の為ではない。 患者を安心させる為のものだ。 カウンセラーが精神安定剤なんて、お笑い草だ、と早紀は思う。 原因は、分かっている。 数年にも渡り、陽介と付き合っているからだ。 実際、早紀の心は疲れ切っている。 午前と午後、2人づつしか診ないのはそのせいだし、心療内科の勤務を辞めたのも同じ理由だ。
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