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しかも今日は、更に気分を重くさせる人物が、1番目の患者として、やってくる。
坂東 淳(あつし)。
早紀の、昔の恋人から電話が入った時、受話器を持った手に動揺が伝わった。
大学時代から、長く付き合った相手だが、キレイな別れ方をした訳ではない。
予約を、断るべきだったのかもしれない。しかし、会ってみたいという思いと…、
――そして、あの手紙。
淳に会う事は、否めない。早紀はそう判断したのだ。
準備を済ませ、コーヒーをドリップしている時に、チャイムがなった。
早紀は、白衣を着ない。今日は、淡いピンクのフランネルのブラウスにスカートを合わせ、髪は束ねずに、玄関の扉を開けた。
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