③ 第三の試練

2/3
前へ
/33ページ
次へ
  「いいぞ!いいぞ! あったっしー! いいぞ!いいぞ! あったっしー!!」 メグは楽しかった。 メグたち家族が 都会から田舎に 引越してきて まだ半月。 都会からきたというだけで よそ者扱いのメグは 新しい友達が まだできていなかった。 家族以外と こんなにたくさん話したのは 久しぶりだ。 はやく、 次の妖精に会いたかった。 丑三つ時…。 そいつは やってきた。 『今晩ワ』 「ひっ!」 メグは驚いた。 いつの間にか 部屋のドアが 少しだけ開いていて、 そのスキマから 血走った目だけが 覗いている。 『わたしの名前はミザール。 わけあって、 あなたに 姿をみせることができません…。 残念だ…。』 「…なぜ 見せられないの?」 メグは息を飲んだ。 血走った眼は まっすぐに こちらをみつめて離さない。 『私の体は 18歳に満たない あなたがみるには 酷な体だからです…。』 「そんなの 気にしないよ! 入っておいでよ!ミザール!」 『ソウデスカ。 それでは失礼シテ…。』 モゾゾゾゾ…。 10分後…。 「…う、う~ん……。」 『気がつきましたか? アナタは わたしを見た途端、 泣き叫び、 手足をバタバタさせて、 中島さーんっ!! と何回も叫び続け あげくの果てに 気絶しました。 怖いときにはせめて お母ちゃ~んて 叫んでください。 わたしの姿は あなたの記憶から 消しておきました…。 あ、大丈夫。 なれてるから…。』 「…ごめんなさあい。。」 しかし メグの頭に 少しだけ記憶のカケラは 残っていた。 メグは覚えていた。 部屋に入ってきた ミザールの手に 包帯をまいた 人形があって、 それを大事に 抱えていたことを…。 ドアのむこうの 血走った眼は メグと同じ目をしていた。 『それでは いきましょうか…。 アナタに捧げる 三番目の試練です…』 「人形さんは かわいかった。」 _image=158670455.jpg
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加