★ 夢

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メグは 七歳の誕生日をむかえる夜 不思議な夢をみた。 漆黒の闇の中に ちっちゃな こぐま。 その小さなからだは 震えていた。 目からは 大粒のなみだ。 メグは こぐまに近寄ると 笑いかけた。 こぐまは 泣きながらニコッと 笑い返し 『お願いね』 そう呟いた。 「えっ」 『…お願い…』 そこで 目が覚めた。 窓を開けてみる。 外はまだ暗かった。 メグは ただの夢ではない 気がしていた。 こぐまの姿が 頭に焼き付いて離れない。 泣きながら はにかんだ こぐまのおしりには しっぽがなかった。 ぼくに しっぽをちょうだい なぜだか メグには こぐまが そう願っているような 気がした。 こぐまさんを たすけなきゃ。 メグは そう決意した。 その瞬間。 ボーン、ボーン、ボーン… 小さな棚の上にある 置き時計が鳴った。 時計の針は 零時ちょうどを指していた。 それは メグの 七歳の誕生日を知らせる 合図だった。     _
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